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60年代後半生まれの独身女が日々考えたことをつづります


by kiriharakiri
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コンドームを巡る冒険

唐突ですが。ラブピースクラブというお店があります。オーナーもスタッフも全員女性というユニークな「フェミニスト女性による女性のためのアダルトグッズ・ショップ」です。

このお店のサイトもまたユニークで、サイトのトップページに沢山のコラムが連載されているのです。とても気に入っているコラムもあれば殆ど読んでいないコラムもあるのですが。その中の一つに、読んだ後に何と言うか、こうお尻がむずむずするようなと言うか、「だから!もしかして!それって!・・・こういうことじゃないかなぁ!?」と言いたくなるコラムがあるのです。

それは今福貴子さんという編集者・ライターの方の「ナマ問題研究」というコラム。本業の傍ら、性感染症予防啓発を中心に「性の健康」に関わるさまざまな事業に携わっていらっしゃるそうで、これまでに得た性の知識を皆さんと共有していけたら――ということだったのですが、毎回読後は頭の中が「んー???」そして「だからあ!」。

なので、このコラムを書いている方及びお店のスタッフの人に読んでもらおうと思って、メールを書いてみました。そうしたらこれがやたらと長文に。

長文書くと、ついつい勿体なくなってブログに使い回ししたくなるのが私・・・。と言うわけで、使いまわし決定!書いたメールの本体部分を載せます。

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これは誰のナマ問題?

最初、「ナマ問題研究」というタイトルと自己紹介の内容(性感染症予防啓発を中心に「性の健康」に関わるさまざまな事業に携わっている)からして、これまでに今福さんが遭遇した世間の人たちの「ナマ問題」についてのコラムなのだろうと思いました。

でも回を重ねるにつれ、これは今福さんご本人の、つまり「『私の』ナマ問題の研究」だと気付き、驚きました。だって、性感染症予防の原則=「セックスにはコンドームを」を性感染症予防啓発に携わっている方が「でもそれは必ずしも現実的ではない」として実行できていないと言うのですから!

今福さんは正直・・・ではありましょうが、私は彼女の「コンドーム使用」ということに対する感覚のあまりのユルさに半ば唖然としました。

コンドームを使わない

それはともかく。コンドームを使うセックスの対極にあるのがコンドームを使わないセックス、通称「ナマ」(何という嫌な言葉だ)です。

男がコンドーム使用を嫌がるのは「ナマ」の方が気持ちいいからだと多くの男は説明します。確かにゴムの膜があるのと無いのでは違うかも?と思わせますが、実際にどの程度の差があるのか本当のところは女には謎です。単なる思い込みという可能性もあるし、個人差もあるのかもしれません。

また、多くの男が「中出し」(この言葉も大嫌い)を好む理由は何なのでしょう。どこで射精しようが物理的な快感は基本的に一緒のはずです。「中出し」することで女を完全に征服したような気分にでもなるのでしょうか。男のセックスは「中出し」してこそ完成・完璧、「中出し」無しのセックスなんて男が廃るぜ、とか。「女に種を撒き散らした!」って感覚がいい、とか。どのみち馬鹿げた理由に違いないと睨んでいます。

こうしたくだらない理由で「ナマ」をせがむ男を女が受け入れる理由は「コンドーム付けてなんて恥ずかしくて彼に言えない」(彼の前でパンツ脱いで股を開いてペニスを挿入させることは出来るのに?)だったり「そんなことを言って彼に嫌われたくない」(そんな理由であなたを嫌う男をキープしたいわけ?)だったり。つまりは、女に埋め込まれている不愉快な「現代版・女大学」(例えば、女は男に好かれてなんぼ~とか)のせいなんだろうな、とまあ一種フェミ的とも言える解釈をしておりました。

「ナマ幻想」はどこから?――私の推論

今福さんは自分には「ナマ幻想」「ナマファンタジー」があると書いています。これも「現代版・女大学」から派生したもの、もしくはその一部なのかなぁ~と思います。だとすれば、これは彼女だけが持っている特殊な趣味嗜好というわけではなく、こういうのを持っている女は結構いるのかもしれません。

今福さんはこの「ナマ幻想」について『生殖への憧れなのか、どこかで強く刷り込みがなされたものなのか。理由はまだわかりません。』と書いています。ううむ、それは一体何?

と言うわけで、ちょっと勝手に憶測してみました。

現代版・女大学(第4版) 

第3章 恋愛至上主義及びカップル至上主義

1・女は恋愛すべし
*恋愛とは何物にも代え難い素晴らしいものです
*恋に酔うことこそ人生の醍醐味です
*恋愛することで心もお肌も潤います
*ですのでどんどん恋愛しましょう
*まずは男性に好かれる女性になって恋愛をスタート
→恋愛したことのない女は可哀想、と言うか人間未満
→男性から好かれず恋愛がスタートしない女は可哀想、と言うか人間未満
→恋愛していないのはダメな状態、心もお肌もカサカサ
→そんな女は見下しましょう

2・何てったってカップル
*カップルでいることこそ幸せ
*喜びは2倍に悲しみは半分に
*ですので是非とも彼氏・夫をゲットしましょう
*そのためには努力を惜しんではなりません
→彼氏・夫のいないことは不幸、と言うか人間未満
→そんな女は見下しましょう
→ですのでカップル解消を避けるため彼氏・夫には極力しがみつきましょう
→そのためには彼氏・夫の願いごとは極力受け入れましょう

3・素晴らしきベビー
*ベビーは二人の愛の結晶
*ベビーが彼氏を夫にしてくれます
*ベビーは夫をあなたに結び付けます
*ベビーを抱く幸せは女に生まれた喜び
*ベビー+カップル=幸せ家族
→愛している人の子供を欲しくなるのが女の本能
→子供を欲しくならないのは女の本能の壊れた女
→ベビーのいないカップルは不幸
→そんな女やカップルは見下しましょう

なんか、必ずしも「ナマ問題」とは関係の無い項目まで書いちゃいましたかね。で、ここから何を引き出したいかと言いますと。

「ナマ問題」関連具体例

強い恋愛至上主義とカップル願望が引き起こすもの
とにかく恋愛してカップルにならなくては!
カップルになったからにはその状態をキープしなければ!
だから彼に嫌われたくない!彼から離れたくない!
だから彼のお願いは聞かなくちゃ!
だから「中出し」したいという彼のワガママを聞こう
ああ、私は彼を愛しているんだ!―――という気分・自分は恋愛しているという陶酔・元を辿れば出発点は「とにかくカップルでいなくては!」

素晴らしきベビーが引き起こすもの
彼と「中出し」セックス
彼の子を妊娠するかも・・・
その子は二人の愛の結晶・・・愛の結晶・・・ウットリ・・・
妊娠したら彼が結婚しようって言うかも・・・一生一緒・・・永遠の愛・・・ウットリ・・・
そんな妊娠につながるかもしれない「中出し」・・・いいかも・・・ウットリ・・・
毎回正しくコンドームを装着する男
妊娠の可能性無し→何のウットリも無し

これらにより「ナマ幻想」「ナマファンタジー」発生

(ま、物凄く単純化してあるわけですから、もしあなたが「恋愛・カップル・ベビー」を限りなく大切に思っている人であっても怒らないでね。)

つまるところ「ナマ幻想」「ナマファンタジー」は刷り込まれた「現代版・女大学」(もしかしたらその一部は本人が積極的に取り込んだものかもしれない)が生み出している~というのが私の推論です。

だから自然とか本能とかはあんまり関係ないと思います。他人を愛したり、その人の子供を妊娠したいと願う、なんていうのは本能なのではと思っている人もいましょうが、私は人間の本能はほぼ壊れているという考え方に賛同していますので、そうは考えません。(オオカミに育てられたオオカミ少女が他人を愛することはないと思います。逆に、妊娠したくない人でも排卵期の前後のセックスは特によく感じる、なんて現象は一種の本能の表れみたいなものかな、と考えます。)

と言うわけで、身も蓋もないですね。でも物事を突き詰めて理由を探ってみたりすると、どうしてもこうなってしまうと思いますので仕方ないことだと諦めましょう。勿論、理由なんぞ見なくていい、自分は幻想の中に漂っていようという選択だってアリだと思います。幻想の中に漂いつつ、理由も知りたいですか?欲張りですね。どうすればいいか私には分からないです、残念ながら。

コンドームを正しく使用出来るとは限らない――のは仕方ない?

さて。冒頭にも書きましたが、今福さんの「コンドーム使用」ということに対する感覚の甘さには驚かされました。うーん、これで今まで無事に済んできたのかしら?と心配にさえなったくらいです。

まず避妊目的の観点から言えば。低容量ピルが解禁されている現在ではピルを使える人であればピルが一番確実な避妊法ですので、コンドームの重要性は下がったと言えるでしょう。でもピルを服用していない人にとってはやはり「正しく使うコンドーム」が信頼できる避妊法だと思います。

こんなこと無論、今福さんもご承知なわけです。なのに、彼女がいつもではないにしてもコンドームを適当に使ってきた(コラムを読む限り、そのように見える)というのが私にはちょっと理解できません。

私の知識では「適当に使うコンドームというのは避妊法としての意味無し」です。コンドームを途中から付けるというのは避妊していないのと変わりないと思うのですが。ましてや「ナマ」で挿入・膣外射精など論外。これも避妊せずのセックスの一種でしょう。

しかし今福さんは、セックスの途中でコンドームが破れてしまったときのことを『途中で抜いたときに気づいたので、何も知らずに中出し、という事態は避けられたものの』と書かれているあたり、「途中から付けるコンドーム」や「膣外射精」も避妊法としてある程度有効と考えておられるようです。

恐らく、ここが今福さんの考え方のポイントだと思います。彼女は「原則論は百も承知、でもそれは現実には即さない面もある。とすれば、とりあえず何にもナシよりは確率的にちょっとでもマシなことを実行しよう」という考え方をされているのではないでしょうか。そして他の人に対しても、同じことをアドバイスしたいところだけれど・・・と、ここはさすがに迷っているところなのではないでしょうか。

うーん。その「ちょっとはマシ」がどのくらいの程度マシなのか・・・?確かに何もナシよりはマシではあるのかもしれませんが・・・それでも基本的に原則論かますべき考えます。でないと、自分や他の人をコンドームによって防ぐことが出来たはずの「悲劇」から守れない危険性がかなり高くなってしまうのではないでしょうか?と言うか、私はやっぱり「正しくない使い方」は「使わず」と五十歩百歩であるとしか思えない。

これまでに今福さんが妊娠したことがないとしても、それはコンドームを使ってセックスをしていたからであるとは言えないと私は思います。単に「偶然」&「運がよかった」から、ということではないでしょうか。(ピルを服用していたのであれば話は変わってきますが。)

それから性感染症予防の観点から。ピルで避妊は出来ても性感染症は予防できません。ですから、やはりコンドームは妊娠を望んでのセックス以外において基本的に必ず使うべきものということになります。

性感染症についての『検査を受けてシロが証明されたら、それまでの相手のことはナシにしてよし』という考え方は、なるほどなぁ、と思いました。『今、私には背後霊はいないはず。過去はキレイに精算済み。』と捉えるのは悪くないと思います。

でも、避妊だけでなく性感染症予防の点からも落第である「途中からコンドーム」や「膣外射精」を伴うセックスをしてきたにも関わらず性感染症に罹患しなかったというのは、やはり「偶然」や「運」が作用したからだと思うんですよね・・・。

そう、今福さんは運がいい。とてもラッキー。コラムからはご自分のラッキーさについてあまり気付いていらっしゃらないような感じがしたので、あえて書いてみました。

今福さんは自分は度々「ナマ」でセックスしてしまうけれど、その前提には『そもそも私は不特定多数とセックスしないから』ということもあると書かれています。確かに、性感染症に罹患していない二人が、二人とも他の人とは一切セックスせずにお互いとだけセックスするのであれば、性感染症の心配はありません。女がピルを飲んでいれば避妊もクリア。コンドーム無しでOKということになります。

ですから今福さんはさほどのリスクに晒されていたわけではないのかもしれません。ただコラムを読んで、それなりの数の男性とセックスした経験があるように感じられたので、その割には無防備では!?と思ったのです。少なくとも初体験のお相手とはピルを飲んでいなかったにもかかわらず必ずしもキチンとコンドームを使わずにということですから、これまで妊娠や性感染症とは無縁であったのなら、やっぱりとても運がよかったからだよ、と思うのです。

ええ、世の中運のいい人もいれば悪い人もいますからね・・・。

早くにセックスを経験した人の多くがコンドームを使わない人になるのはなぜだ?

最後に、『最初のセックスでコンドームを使わなかった人や早くにセックスを経験した人の多くがその後のセックスにおいてもコンドームを使わない傾向がある』ことについての理由の憶測です。

『平均20歳くらいの若者を対象にした調査では、15歳までにセックスを経験した人の半数以上が「コンドームをまったく使わない」』ということですが。今は初めてセックスを経験する年齢がどんどん低くなっていると言われていますが、それでも15歳までにセックスというのは今でも早いほうだと思うんです。

早くに(中学生のうちにとか)セックスを経験する子というのは、私の時代(1980年代前半)は不良とレッテル貼られちゃうような子がメインでした。その後も連綿とそういう傾向は続いているとは思いませんか?私は続いていると思うんです。「不良」の見てくれ自体は変遷してきたでしょうが。

そういう子が早くセックスを始めるのは、とりあえず「格好つけたい」「大人っぽい」ということを求めてかな~と思ったりします。いきがってタバコ吸ったりするのと一緒。他のいい子ちゃんのガキどもをフフンと見下すのが快感、みたいな。

そしてそういう子は、自暴自棄だったり刹那主義だったり、そして将来のことを考えて今の行動を決めるのが嫌いだったり苦手だったり、ということが多いように思います。

つまり「今がよけりゃそれでいい」「今の行動が将来どういう結果を生むかは考えない・そういうことを考える習慣はない」。

となれば「コンドーム装着」なんて単に七面倒くさいだけでは?また、こういう「不良な」男の子たちって「男っぽさ」それも「ちょっと悪い雰囲気の男っぽさ」というのに物凄く強く憧れている場合が多い。前の方でも書きましたが、どうも男には「男っぽい男のセックス→コンドームなんか使うかよ」というのがあるみたいで、俺は男だぜ!とか息巻いている男ってコンドーム使わなそう・・・。

そしてこういう男と付き合う「不良」もしくは「元・不良」の女の子も現在のことと将来起こることを結びつけて考える習慣がなかったり、たとえ彼女が妊娠のこととか考えて「ナマ」はホントは嫌と思ったとしても自分の男の言うことは黙って受け入れがち・・・な気がします。また「不良」の女の子は結婚願望・家庭を持ちたいという願望が強いと何かで読んだことがあります。実際に早婚の子も多いですよね。とすれば、付き合っている男に捨てられたくないとか、妊娠したら結婚できるかもと考えてコンドームを使わないという理由もあるかもしれません。

さらには情報格差もあったりして・・・「不良」な子たちは案外、正しい性の知識というのを持っていないということも考えられます。

もちろん、コンドームを使う「不良」「元・不良」な子たちもいるでしょうし、逆に早くにセックスを経験した「不良」じゃない子の中にもコンドームは全然使わないという子がいるでしょう。

とは言え、大雑把にまとめちゃいますと。

15歳までにセックスを経験した人たちの中に占める「不良」割合は、16歳以上でセックスを経験した人たちの中に占める「不良」割合より高い。

そして「不良」「元・不良」な人たちの中に占めるコンドームを使わない人たちの割合は高い。

だから15歳までにセックスを経験した人たちの中に占めるコンドームをまったく使わない人たちの割合は50パーセント以上という高い数値を示す。

はい、あくまで推論です。根拠は示せません。無いですから。

最初のセックスでコンドームを使わなかった人がその後のセックスでもコンドームを使わない傾向が強いというのもまた、彼ら・彼女らの中に占める「今がよけりゃそれでいい」「今の行動が将来どういう結果を生むかは考えない・そういうことを考える習慣はない」という人たちの割合が高いからではないでしょうか。逆に、そう考えない人は最初からコンドームを使う確立が高いのでは。

そして刹那主義か否か、先のことを考えて行動するか否かといったことは、時間が経っても案外と変わることが少ないのかもしれません。

今福さんの『初心者の頃のセックスの在り方と現在のセックスの在り方に関係があると思いますか?』という問い、私は、最初のセックスでの行動が現在の行動にまで影響しているわけではなくて、もともとコンドームを使わないという行動を取りがちな人たちは最初のセックスでもコンドームを使わないし、今も使わない、ということではないかと考えます。

ええ、もちろんこれも推測、と言うよりあてずっぽうですが。どうでしょう。
by kiriharakiri | 2008-07-17 06:25 | 社会一般