人気ブログランキング | 話題のタグを見る

60年代後半生まれの独身女が日々考えたことをつづります


by kiriharakiri
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

小林万里子ライブ at 釜ケ崎の立ち飲み屋「難波屋」

今回の大阪・京都旅行の大きな目的の一つに小林万里子ライブに行く!というのがありました。

是非是非行きたいと思っていたんですよ~でも会場が大阪や京都だから行けなくて・・・今回ようやく念願叶いました。

ここで「小林万里子って誰やねん?」という方への紹介。(いろんなところでほぼ同じ照会文を見かけるので、それをそのまま引用してみました。もともとの版権者は不明。)

<小林万里子> 
小林万里子ライブ at 釜ケ崎の立ち飲み屋「難波屋」_e0020882_2049304.jpg


1954年生まれ。1978年フォーライフレコードより「朝起きたら…」でデビュー。「朝起きたら、男の態度が変わってた~」と、歌う24才の小林万里子のブルースはくり返しラジオで流された。女の恨み辛みを自虐的に笑うブルースに、タモリなど若手コメディアンが注目し、小林万里子の名は地元大阪のみならず全国に知れ渡った。

だが、2曲目「れ・い・ぷ フィーリング」がその「過激さ」のため、放送禁止の処分に遭い、その後、レコード会社の方針変更などにより、締め出されるように歌う場を奪われてしまう。一部の根強いファンを持ちながらも、小林万里子の名前は人々の記憶から薄れていってしまった。

2003年1月、復刻CD制作会社(ケンロードミュージック、後にクリンクレコードに移る)に版権レンタル許可がおり、それを機に復刻盤CDが出た。長いキャリアの小林万里子だが、これが「ファーストアルバム」である。

15年ほど前から京阪神を中心にライブ活動を続けていた小林万里子の人気はじわりじわりと広まりつつある。「お笑い歌手」としても評価の高い小林万里子。「浪花のジャニス・ジョプリン」と評されたブルースシンガーとしての声は健在だ。

<鷲尾悠持郎>(小林万里子さんの専属ギタリスト)
1958年生まれ。小3の時にウクレレを自発的に弾き始め、中2までクラス1フォークギターのうまい少年として君臨。20年を越える小林万里子とのコンビネーションは絶妙。


小林万里子公式サイト(?)の「朝起きたら掲示板」。紹介文に出てくる復刻版CDが買いたい方はこちらへ。それからネット放送局ユニミックスの番組に4回にわたって小林万里子さんが出演していて、歌も含めたライブの様子も聞けます。万里子さんの背景についてもうちょっと知りたい方はこちらのインタビュー記事を。私はそもそもこの記事がきかっけで万里子さんのことを知りました。

ところで。私は勝手に万里子さんの歌を3つに分類しています。

その1・この世でヘゲモニーを握る男が下位の性である女をどんなふうに思っているか・扱っているか、女はどんな目に遭っているか等についての「真実」を真摯に見つめてしまった歌。
その2・有名曲の替え歌・パロディ。しばしば「その1」関連のネタやら時事ネタやら下ネタやらが混じる。
その3・時事ネタの歌。しばしば下ネタが混じる。

そしてこれら3つが厳然と分かれているわけではなく、かなりクロスオーバーしています。

さて、当日のライブについてです。ライブ会場は大阪の立ち飲み屋「難波屋」(西成区萩ノ茶屋2-5-2・西成警察の北約50メートル三角公園から新今宮の方へ50メートルほど)、 「一体全体どんなどころなのだろう・・・!?」と大いにビビッた私は、当然の如く一人で会場入りすることは避け、立ち飲み屋に慣れてる頼もしい「お姉さま」を頼り(笑)、難波屋さんへと向かったのでした。

初めて乗った阪堺鉄道というチンチン電車の今池駅で降りると、美味しそうな食べ物の匂いがプーンとしてきました。界隈はアーケードつきの商店街で、オープン・カフェならぬ小さなオープン・立ち飲み屋が何軒もあります。へー、こういう場所があるんだなぁと思いました。

程なくアーケードからは離れて、ちょっと大き目の道へ出て難波屋さんへ向かいます。路上には酒の入ったおっちゃんたちがウロウロしています。と言うか、酒の入っていない人など路上には誰もいなかったのではないでしょうか。なんだか大きな声で喋ってます。誰かに喋っているのか一人で喋っているのかは判然としませんでした。

難波屋さんは難なく見付かり、扉を開けますと狭い店内はお客さんでギッシリです。お安いと聞いていましたが、確かにお安いメニューが並んでいます。店を切り盛りするご夫婦は、予想外に爽やかな感じの方たちでキビキビと働いていらっしゃいます。

このお店の奥の小さなスペースがライブ会場。(ちなみにチャージは投げ銭。ライブの途中で鍋が回ってきました。)そしてそこには既に小林万里子さんと鷲尾悠持郎さんがおられました~!初めての生万里子さん、なんだか写真で見ていたより随分と痩せています。後で分かったのですが、糖尿病を患ったせいで痩せてしまったのだそうです。(ちなみにライブでは糖尿病の歌もありました~。)

さあ、さあ、早速ライブ開演です!

小林万里子ライブ at 釜ケ崎の立ち飲み屋「難波屋」_e0020882_21384970.jpg


つかみの歌は滝川クリステルの歌でありました~。「山本モナと被ってなんかいないわよ~♪」ということで。いきなり爆笑。そう、ああいう「とっても美人ということで男から高評価を得て、社会的成功も手にしました」てな人について笑わんでどうする!と思うわけですよ、私は。そりゃ彼女が美人であることの「責任」は彼女自身にはないわけですけどね。責任があるとすれば、それは彼女の母にあるということか?彼女の母については万里子さんは「日本のブスが語学留学先のフランスで一発大逆転~♪」みたいに歌ってましたが。これも笑いました、異国の地ですら一発逆転出来なかった自分としては、自虐的に。

さて、「最近の美和明宏はオカシイから、もうヨイトマケの唄は歌うな。私がコレ歌うたる。」ということで、ヨイトマケの唄の替え歌があったのですが、とても印象的でした。内容は深刻。考えさせられました。つい最近の、46歳の祖母が養子縁組した4歳の孫を虐待して殺したという事件についての歌でしたから・・・。興味のある方は、是非この歌詞読んでみてください。

小林万里子ライブ at 釜ケ崎の立ち飲み屋「難波屋」_e0020882_2201425.jpg


弱い者へ弱い者へと「下りて」行く暴力。無論、緊急避難所は必要だけれど、結局トップの暴力をストップさせない限り、解決はしないんだよー。

では次。大爆笑の歌を紹介しましょう~。売れすぎ・儲かりすぎ・人の死でそんなに儲けるなの「千の風になって」のパロディ「千の・・・(自主規制)」。勇気のある方は是非覚えてカラオケで歌ってみましょう。きっとウケます。もう、ロクでもない歌です(笑)。あ、でも「その1」の歌でもあるか・・・。ええ、確かに、私ならこんな風に扱われるのイヤだわ・・・。下ネタが嫌いな人は絶対にこの写真を読まないでください

小林万里子ライブ at 釜ケ崎の立ち飲み屋「難波屋」_e0020882_2218473.jpg


ちなみに、歌詞ノートの写真は、万里子さんがドンドン撮っていいですよ~というので撮ってきたものです。図々しくもっと沢山撮ってくればよかったな~。(ん、でもネットにアップしてもいいとまでは言っていなかったか!?)

他にも笑える歌の数々。

「六甲おろし」が「六甲坂の病院で降ろして、これが本当の六甲おろし」とか・・・笑っていいんでしょうか・・・笑ったけど。「明日があるさ」には57歳のカノジョが出てきたり・・・冤罪じゃないと主張したり・・・。「ローハイド」も変なことになってたな・・・。

あと、禁断の宗教ネタ。もしかして信仰してもいいのではなかろうかと長年に渡って真剣に検討している宗教の教祖のネタでも笑う自分。だって、彼の出来ることはミスター・マリックも全部出来る―――って、確かに表層的にはそうだもん。私生児だった―――って私も思ってるし・・・。宗教って、本来、そういう馬鹿馬鹿しいお笑いくらい、それこそ笑って聞き流すくらいの度量を持ってるもんだと思うんだ・・・。でも原理主義者とか怖いからなー。それから、特により新しい宗教は、その「若さ」ゆえかより生真面目だったりする傾向があるし。ファナティックな人々が日本語を解することがないように祈ります。

さて、ここでまたちょっと真面目な歌について。

この6月の中旬に、西成で起こった暴動に関しての歌がありました。

大阪でサミット財務大臣会議が開催されていたちょうどそのとき、西成では暴動があったんですね・・・私、薄らボンヤリで知りませんでした。お恥ずかしい。ユーチューブでこの暴動について伝えるテレビ番組が見られます(その1その2)。ところで私はテレビに全然詳しくないのでこの番組が何という番組なのか分からないのですが、ご存知の方がいたら教えてもらえますか?それから、こっちはイタリアのメディアの取材による暴動の様子。

ネットで新聞の記事も検索してみましたが、情報は少なかったです。あんまり熱心に報道されなかったんですね。ここでは毎日新聞の記者さんの感想文にリンクしておきます。

報道を要約すると「西成の日雇い労働者が飲食店でトラブルになり、西成署での事情聴取の際に暴行を受けた。男性は釜ケ崎地域合同労働組合の委員長に相談し、委員長は西成書の前で抗議演説を行ったが、それをきっかけに労働者らが集まってきて暴動・機動隊との衝突にまで発展した」ということになります。

でも前述のとおり報道はおざなり。全国的には私のようにニュースを知らない者が恐らくは多数派。一体全体本当のところ何が起こったのか?そして何が問題なのか?全てはウヤムヤのままに忘れ去られ・・・。

万里子さんは、この暴動のそもそもの発端について歌っていました。そもそもどうしてこんなことになったのか?ニュースでは全然報道されていません。ネットで検索したなかでは、こちらのブログに書いてある「事件の発端」が万里子さんの歌の内容とかなり近かったです。

西成の日雇い労働者(ニュースでは「無職」となってますが)が、地区のお好み焼き屋に行った。店が混んでいたのでお金だけ払って2時間後に取りに来ると言って店を出た。けど、実はこの店の若い店員の態度は悪かった。こっちを差別してるんじゃないかと思った。でも黙って店を出てきた。2時間後に再び店に行ったとき、やっぱり注意しようと思って、客商売するんならそういう態度はよくないと一言抗議・注意した。そしたら店のオーナー(この若い店員のオカン)は即座に「営業妨害や」と断定、警察を呼んだ。警察はこの男性だけを車に乗せて西成署へ連れて行った。

男性は個室へ連れて行かれ、刑事たちから「お前が悪い」と認めろと代わる代わるに激しい暴行を受けた。首絞められたり逆さ吊りにされた。気を失いかけると、なんやらスプレーかけられて「気付け覚まし」。ボコボコにされた挙句「生活保護受けられんようにしたる」と脅された男性は「二度とあの店には近付きません」という誓約書を書いて、「釈放」される。でもやっぱりどうしても納得いかなかった男性は、西成署を再訪するも相手にされないし、釜ケ崎地域合同労働組合に相談をする―――というのが万里子さんの歌のおおまかな内容。(この歌聞いた人で、ここ違ってると思う箇所があったら指摘してください。)

こういうの、万里子さんは我慢ならんのだろうと思います。だから歌にして歌う。熱唱でした。

万里子さんは「一方の側からだけの話だから。もう一方の人たちと連絡取れるという人いたら連絡取って~。」と言っていましが、残念ながら誰もお好み焼き屋の親子とか刑事とかに連絡取れなかったんで、私もこの一方の側からだけの主張だけで発言します。

悪いよ、お好み焼き屋の親子。
悪いよ、西成署の刑事。

特に、警察は・・・。今回いろいろネットで調べて読んだのが西成署のことだったんで、とりあえず西成署についてと前置きするけれど、とにかく物凄い暴力体質。「善良かつ純真な」国民としてはショックです。公権力の暴力ってスゴイんだな・・・。警察の一員となった「人間」に、そこまで暴力が染み込むもんかと思いました。麻薬みたいなもんですか、暴力って?

なんでこういうことが、もっと取り沙汰されないのだろうと思いますが、そりゃ大マスコミは取り沙汰そうとしないだろうなぁ・・・残念ながら。

小林万里子ライブ at 釜ケ崎の立ち飲み屋「難波屋」_e0020882_0273493.jpg


それから、「公権力の行使」関連の歌ではもう一つ。

大阪市がテント生活者のテントを破壊して彼らをシェルターに移そうとしたことについて。いや、行政側から言えば、公園等を不法に占拠している人たちにシェルターを用意いたしましたので彼らにはそちらへ動いていただこうという行為、について。

大阪でのテント生活者及びその支援者と、彼らを移動させようとする行政側(大規模な機動隊導入)との「争い」は「絵になる」映像なのでしょう、全国ネットのニュースでも大きく報道されるので私も見覚えがあります。この「争い」にはいろんな問題が絡んでいると思いますので、不勉強な自分はここではそのことについての細かい意見は言いません。

ただ、今回万里子さんの歌を聞いてハッとしたのが「何で2月にそんなことするんだ!」という意味の一節。

「なぜ2月?はあ?」とか思った私は本当にお馬鹿です。寒い2月にテント引っ剥がせば、シェルターへ移る率も高まるだろう、ってことなんですよね・・・。気付けよ、そのくらい・・・。

そして、これは絶対に行政側の誰かがそういう意図で発案したことに違いないと思うんです!いるよ、役所にはそういうことに「頭が働く」ヤツが!そしてそういうヤツこそが出世するのです。だって素晴らしいアイデアマン・ウーマンですもん、そういうヤツは、ウエの方々にとって!

あー、もうイヤだー、そんな「役所」にいる自分がイヤだー、「公権力」の末端にいる自分がイヤだー・・・つくづくそう思いました。

この歌では「恥を知れ!大阪市!恥を知れ!大阪市!お前らこそ大阪から出て行け!」という一節が高らかに繰り返し歌われました。観客の皆さんも合唱してました。凄く良かったです。

恥を知れ。本当に・・・。自分の今後のことについては、これからゆっくり考えますわ・・・。

さて。気分(←私の)を変えて。他には外国関連の歌も面白かったです。「アメリカはまずインディアンに謝れー」とか。ホントに。インディアンには謝らんとなぁ。あと、各国の権力者(男)の皆様方を笑う歌とか。でもプーチン笑った翌日及び翌々日に、恐らくはプーチンのお陰で蓄財されたんであろうなーという方々をちょくちょく見かけることになるんですよね、京都で・・・。それから、男性客が万里子さんに革のベルトでお尻(←それも裸の)をバシバシ叩かれる歌があったのですが、「お尻叩かれてる・・・」ということばかりが記憶に残っていて、歌の内容が思い出せません(笑)。

そして2時間のライブはあっと言う間にエンディングに。アンコール曲は「便所のブルース」。万里子さんの代表曲と言っていいと思います。生で聞けて嬉しかった!内容は「女は男の便所~」という「その1」な曲です。聞いて怒りたくなった人は、何で怒りたくなるのかよーく考えてください。

ライブ終了後は万里子さんと鷲尾さんにしつこく「面白かったです!面白かったです!また来ます!」と伝え、一緒に写真を撮ってもらい、出来れば自分のトコの首長のネタを掴んで万里子さんにお教えしたいと伝え、名残惜しく「難波屋」さんを後にしたのでした。

とにかく、とても楽しかったです。時間とお金と遣り繰りつけて、またライブに行かねばな~と思っております。皆様もどうぞ!
by kiriharakiri | 2008-08-08 00:32 | 大阪・京都旅行~2008年夏